理想ボース気体のボース・アインシュタイン凝縮

ボース・アインシュタイン(BE)凝縮は,アインシュタイン自身が「引力なしの凝縮」と呼んだように,純粋にボース・アインシュタイン統計から導かれる量子統計的な現象である.

本公演では,この観点から,相互作用しない理想ボース気体が有限温度のもとで凝縮を起こす条件を調べ,系のエネルギー分散関係と空間次元が本質的な役割を果たしていることを示す.また最近の実験的な成功により盛んに研究されている,ポテンシャル中にトラップされたBE凝縮を取り扱うため,一般の冪型ポテンシャル中の問題をWKB法を用いて解き,ポテンシャルの形状を定める実空間の冪と分散関係に現れる量子数の冪の間の関係を得た.

以上の解析によって,以前より個別に知られていた結果を含む,より広範囲の状況に対して,有限温度でBE凝縮の起こる判定条件を,上記の量子数の冪,又はポテンシャルの冪と空間次元によって表わした.