操作主義的な確率論から見た量子力学

本セミナーでは，古典確率論，量子力学を含む，操作主義的に最も一般的な確率論を説明し，特に情報理論と量子力学基礎への応用を紹介する．前者の応用は，量子情報理論を一般化する最も一般的な情報理論の構築である．古典物理学や量子力学といった具体的な物理モデルに依存しない情報理論を構築することで，情報処理（計算や通信）や，情報の本質に迫ることができると期待される．後者の応用は，量子力学の物理原理を追求する試みである．量子力学の理論体系は，それ自体物理的（あるいは操作的）意味を持たない数学（例えば，Hilbert空間と線形作用素論）によって表現される．これに対し，量子力学を（実験で確認され得る）原理ベースで説明することができれば，より直観的に量子力学を理解することができると期待される．