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高温超伝導体接合における巨視的量子現象:量子散逸と量子コンピューティング

日時: 2006/03/14 火 16:30-18:00
講師: 川畑 史郎 氏 産業技術総合研究所
題目: 高温超伝導体接合における巨視的量子現象:量子散逸と量子コンピューティング
場所: 55N-02-応物・物理会議室

ミクロな量子系における興味深い現象の一つがトンネル効果である。それでは、巨視的な系においてトンネル効果を観測することは可能であろうか?

1980年よりNbやAlなどのBCS型超伝導体ジョセフソン接合を舞台として巨視的量子トンネル現象(MQT)に関する研究が行われてきた。

一方、高温超伝導体の超伝導ギャップには節(ギャップが閉じている方向)が存在するので、極低温であっても散逸の原因となる準粒子励起が生じてしまう。そのため、高温超伝導体ジョセフソン接合においてMQTを観測することは困難であろうと考 えられていた。我々は高温超伝導体ジョセフソン接合のMQTに関して理論解析を行い、準粒子散逸の影響は実は非常に小さくなることを見出した[1]。このことは高温超伝導体が高温動作可能な量子コンピュータになりうることを示唆している。そこで、量子コンピュータへの応用についても述べる。また、最近の実験研究の進展[2]についても紹介を行う。


[1] 川畑史郎、柏谷聡, 固体物理 Vol.40 No.10 (2005) 755.
[2] K. Inomata, S. Sato, K. Nakajima, A. Tanaka, Y. Takano, H. B. Wang, M. Nagao, T. Hatano and S. Kawabata, Phys. Rev. Lett. 95 (2005) 107005.

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