Bound-state eigenenergies located above and below the edge of the energy continuum of unstable multilevel systems

多準位不安定量子系を記述するモデルの一つとしてFriedrichsモデルが知られている．このモデルは，連続準位系と結合した離散準位系を記述しており，特に弱結合下では離散準位に局在した状態が指数的に崩壊することを導く．しかし，強結合下では完全な崩壊は起らず，むしろ部分的な崩壊に留まることが知られる．これは、連続準位にまたがった新しい束縛状態の出現によるもので，特にそのエネルギー固有値は連続準位の下限の下に現れる．この事実は，従来の研究では離散準位が一準位からなる場合にのみ調べられているのだが，本研究ではこの問題を多準位系に拡張し，同様の事実が成り立つことを示す．また，従来の研究ではあまり調べられてこなかった，連続準位の下限よりも上方に現れる束縛エネルギー固有値の可能性を考察する．特に弱結合下ではそのような固有値は存在しないことを示す．