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非線形輸送と量子トンネル効果と量子ウォーク

日時: 2004/11/02 火 16:30-18:00
講師: 岡 隆史 氏 東大
題目: 非線形輸送と量子トンネル効果と量子ウォーク
場所: 55N-02-応物・物理会議室

強い静電場をかけると電子系の伝導特性は大きく変化する。これは電子正孔対が量子トンネル効果で生成されるためで、本来絶縁体である系も金属的に振る舞うようになる。ところが、電子間相互作用の強い系では、生成した電荷同士が散乱してしまう為に伝導が阻害されることがある。

静電場は時間変化するハミルトニアンによって記述することができるが[1]、強相関電子系の非線形輸送は複雑なエネルギー準位を持つ量子系の"散逸"の問題の一種と見ることが出来る。我々はこの問題を隣接準位間のLandau-Zener遷移に注目し、エネルギー準位空間の量子ウォークの問題に帰着させる半古典的解析をおこなった[2]。その結果、位相干渉効果のために波動関数が基底状態付近に局在する動的局在現象が確認された。また、電場(トンネル確率)が増大するとトンネル効果が散乱による緩和に打ち勝ち、波動関数が非局在化する場合があり、絶縁破壊現象を理解する上で役立つと思われる。


[1] T. Oka, R. Arita, H. Aoki, Phys.Rev.Lett. 91, 066406.
[2] T. Oka, N. Konno, R. Arita, H. Aoki, quant-ph/0407013.

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