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Feshbach共鳴を有するフェルミ原子ガスにおける強結合超流動:BCSーBECクロスオーバー

日時: 2003/05/27 火 16:30-18:00
講師: 大橋 洋士  氏 筑波大
題目: Feshbach共鳴を有するフェルミ原子ガスにおける強結合超流動:BCSーBECクロスオーバー
場所: 55N-02-応物・物理会議室

ボース原子ガスのBEC実現に続き、現在、フェルミ原子ガスの超流動化に向けた研究が活発に行われている。 中でも、Feshbach共鳴による超流動機構は、高い転移温度(Tc)が得られるとして注目されており、実際、40K、6Liに対する実験はこの機構を念頭において行われている。

本講演では、Feshbach共鳴機構によるフェルミ原子ガスの超流動に関し、高いTcが実現する際に重要となる強結合効果を考慮した理論研究について報告する。 弱結合BCS理論の枠を越え超流動揺らぎの効果を取り入れることで、超流動の性質がBCS的なものから、Tc以上で形成されたクーパー対、及びFeshbach共鳴で生じた分子がボース凝縮するBECへと、共鳴の閾値が下るに従って連続的に移行していくことを示す(BCSーBECクロスオーバー)。 Tcの最高値は強結合BEC領域で得られ、その値はトラップされた系ではフェルミ温度の50%程度にまで達することを明らかにする。 更に、この超流動状態、特にBCSーBECクロスオーバー現象を観測する手段としてdensity profile、集団励起の観測が有効であることを示す。

BCSーBECクロスオーバーの問題は金属超伝導の分野でも理論的に議論されてきたが、現実問題として相互作用を制御することができなかったため、実際に観測することはできなかった。 しかし、Feshbach共鳴の閾値(及び原子間の有効引力相互作用)は磁場により自在に制御できるので、フェルミ原子ガスではこのクロスオーバー現象は実現性のある問題として、今後非常に重要になると考えられる。

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