ベル定理再考,特に緩和ベル不等式について
日時: | 2023/07/11 火 16:30-18:00 |
講師: | 木村元 氏 芝浦工業大学システム理工学部 |
題目: | ベル定理再考,特に緩和ベル不等式について |
場所: | 62号館 1階 大会議室A |
備考: | 研究室セミナー |
2022年にノーベル物理学賞が授与されたベルの定理によると、局所実在論を通じて我々の世界を理解するのが困難であるとされている [1,2]。だが、ベルの定理の背後にある仮定は多くのあいまいさを抱えており、その真の意味を理解するのは難しい。例えば、局所実在論であっても、測定の自由選択を崩すと,ベル不等式は容易に破られるが、このことはあまり認識されていない。このセミナーでは、ベルの定理の意味を改めて深く考察し、議論したい。特に、実在と隠れた変数の関係、局所性の独立性に基づく定式化、そしてしばしば見落とされる本質的な仮定である測定独立性(自由選択の強いバージョン)について説明する。後半では、M. Hallによって開始されたベルの定理の定量的拡張である緩和ベル不等式について紹介する[3,4,5,6]。時間があれば、ベル定理の安全な鍵配送や乱数増幅など情報科学への応用についても触れる。
参考文献:
[1] J. Bell and A. Aspect, "Speakable and Unspeakable in Quantum Mechanics" (Cambridge University Press, 2004).
[2] 量子力学に現れる非局所性の意味, 木村元 (数理科学, 2014年12月号):
https://qsys.se.shibaura-it.ac.jp/kimura/BellTheorem_GK.pdf
[3] M. Hall, Phys. Rev. A, 82, 062117 (2010).
[4] M. Hall, Phys. Rev. A, 84, 022102 (2011).
[5] G. K., Y. Susuki, K. Morisue, arXiv:2206.06196.
[6] R. Takakura, K. Morisue, I. Watanabe, G. K., arXiv:2208.13634.
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