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マックスウェルの悪魔と情報の物理

日時: 2011/07/05 火 16:00-17:30
講師: 丸山 耕司 氏 大阪市立大学
題目: マックスウェルの悪魔と情報の物理
場所: 55N-0202 応物・物理会議室
Maxwellの悪魔のパラドックスは,物理学 (特に熱力学) と情報の概念が明確に結びついた,おそらくもっとも歴史ある例だろう.端的に言えば,このパラドックスは次のような主張をする.超人的だが (Newton力学の) 物理法則は破らない悪魔がいれば,熱力学第2法則を破ることができる,つまり第2種永久機関の実現が可能である.いかにも怪しい (間違っている) 話だが,どこに物理的問題があるかを明らかにするのに1世紀以上もかかった,知恵の輪のようなパズルである.このパズルの難しさは,"観測による情報取得" を物理の議論の中に定量的に組み入れる必要があったことにある.情報の物理を巡る議論は,"情報処理は物理的過程である" との認識を強め,微細加工・制御技術の発展と相まって,量子情報科学隆盛の礎のひとつとなった.本講演では,このパラドックスが紆余曲折を経ながらもいかに解決に至ったかを解説しつつ,カギとなったLandauerの消去原理,および第2法則の興味深い帰結のいくつかを紹介する.
参考文献: K. Maruyama, F. Nori, and V. Vedral "The physics of Maxwell's demon and information" Rev. Mod. Phys. 81, 1–23 (2009)

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