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BECにおける準粒子カレントの異常な増加と誘起された Josephsonカレント

日時: 2008/04/22 火 18:00-19:30
講師: 土屋 俊二 氏 慶応大
題目: BECにおける準粒子カレントの異常な増加と誘起された Josephsonカレント
場所: 55N-01第1会議室
Bose凝縮体(BEC)の音波励起であるBogoliubovフォノンは、超流動性などの低エネルギーにおけるBECの性質を支配しており、これまで超流動4Heや冷却原子気体のBECにおいて精力的に研究されてきた。
 近年、Bogoliubovフォノンのトンネル問題が理論の側面から精力的に研究されている。Kovrizhin, Kagan [1]らは、低エネルギーになるにつれBogoliubovフォノンのポテンシャルバリアに対する透過確率が増加し、ゼロエネルギーでポテンシャルバリアを完全透過するという性質を理論的に明らかにした。この性質は異常トンネルと呼ばれ注目をあつめており、その起源としていくつかの理論が提出されているが[1,2]、完全な物理的な理解には至っていない。
 我々は、準粒子カレントに注目し、Bogoliubovフォノンのトン ネル問題について調べた。その結果、Bogoliubovフォノンの準粒子カレントは保存 しておらす、凝縮体から供給を受けポテンシャルバリアの近傍で増加していることが わかった。この準粒子カレントの増加は低エネルギーにおいて顕著になり、これが、Kovrizhinらにより発見された異常トンネルにおける透過確率増加の原因となってい ることを見出した。また、Bogoliubovフォノンは凝縮体にバリアを隔てて位相差を作り出しており、そのため、ジョセフソン効果が起き、バリア近傍では凝縮体による超流動流が準粒子カレントとは逆向きに流れていることがわかった。更に、準粒子と凝縮体の全カレントが保存するためには、凝縮体を記述するGross-Pitaevskii方程式の補正項を考慮しなければならないことがわかった。

[1] D. L. Kovrizhin and L. A. Maksimov, Dokl. Phys. 46, 328 (2001); Yu. Kagan et al., Phys. Rev. Lett. 90, 130402 (2003).
[2] Y. Kato et al. J. Phys. Soc. Jpn. 77, 013602 (2008).

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