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Projection Operator Approach to Langevin Equations in phi^4 Theory

Date: Friday, June 15, 4:30pm-6:00pm
Speaker: Dr. Tomoi KOIDE Yukawa Institute for Theoretical Physics
Title: Projection Operator Approach to Langevin Equations in phi^4 Theory
Room: 51-03-11

最近、場の量子論を用いた非平衡過程の記述が物理の様々な分野で精力的に計算されている。例えば宇宙初期における相転移、高エネルギー衝突で起こると予想されているクォーク・ハドロン相転移、また、最近話題のトラップされたBose-Einstein凝縮体の形成等がある。

しかしながら場の量子論の方程式は一般に演算子の非線型方程式であるため解くことが難しく、様々な近似が行われているのが実情である。そうした取組の内最近注目を集めている方法が、場の量子論からある種の量子効果を取り入れた半古典的Langevin方程式を導出し、それにより現象を記述するというものである。この時、閉じた時間経路法や影響汎関数法を用いて導出したある種の有効作用に変分原理を適用してもとめる方法がよく用いられる[1]。

ところで非平衡統計力学においてLangevin方程式といえばMori方程式が有名である。このMoriによって始められたLangevin方程式の導出はShibata、Hashitsume、Shinguといった人々により、より一般の場合に拡張がなされている[2]。この方法を射影演算子法と呼ぶ。この方法は主に量子力学系において様々な応用がなされ、成果をあげてきた。一方、場の量子論を用いて計算を行うような分野では閉じた時間経路法や影響汎関数法を用いた計算が主流であり、射影演算子法を用いた計算はほとんど見られない。

最近、我々はこの射影演算子法をphi^4理論に適用してLangevin方程式の導出を行った。さらにその方程式と影響汎関数法を用いた結果との比較を行った。その結果、射影演算子法による計算は影響汎関数法によるものと比較して幾つかの利点があること、また影響汎関数法で課されている仮定が必ずしも妥当であるとはいえないことが明らかになった。このセミナーではこの点について報告するつもりである。


[1]
M. Morikawa, Phys. Rev. D33 (1986), 3607.
C. Greiner and B. Muller, Phys. Rev. D55 (1997), 1026.
[2]
N. Hashitsume,F. Shibata and M. Shingu, J. Stati. Phys. 17 (1977), 155.
F. Shibata and N. Hashitsume, J. Phys. Soc. Jpn. 44 (1978), 1435.
C. Uchiyama and F. Shibata, Phys. Rev. E60 (1999), 2636.
T. Koide and M. Maruyama, Prog. Theor. Phys. 104 (2000), 575.

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