Japanese SET NAMES utf8

カオス光の運動量相関を用いた近視野場における量子消去

Date: Tuesday, December 16, 4:30pm-6:00pm
Speaker: Dr. Ikuya TAMAOKI University of Tokyo
Title: カオス光の運動量相関を用いた近視野場における量子消去
Room: 55N-0202 Conference Room
量子消去とは、相補性原理に基づいて光の観測モードが「粒子性」から「波動性」へと切り替わるような実験系の操作を意味する。ここでは、一光子干渉計における光路識別可能性とコヒーレンス/デコヒーレンスの関係について議論する。
よく知られた二重スリットを利用した一光子の量子消去実験においては、光の内部自由度である直交2偏光状態が光路識別マーカとして用いられる。光路・偏光エンタングル状態ではコヒーレンスが破壊されるため干渉縞は観測されない。一方、スリット通過後に偏光回転(脱エンタングラ)を施すと、光子のマーキングが量子消去されて光路が識別不可能となり、二重スリットの干渉縞が現れる。しかし、この例では干渉計自身が変化してしまうという問題がある。
そこで今回、振幅分割した2光束の運動量の初期相関を利用することで、干渉計を変化させることなく(非侵襲)、非局所的に一光子量子消去が可能な実験系を紹介する。ごく簡単には、近視野場において外部自由度のみの制御によって量子消去を行う点に特徴があり、従来の遠視野かつエンタグルメント依存な量子消去とは好対照をなす。一方、本手法では、運動量の視野制限(光子統計のサブアンサンブル抽出)によってコヒーレンスを回復するため、カオス光のような古典光の量子消去実験にも適用可能である。

item SEMINARS/COLLOQUIA 2024 2023 2022 2021 2020 2019 2018 2017 2016 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997