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核磁気共鳴の新しい展開---半導体中核スピンのコヒーレンス

Date: Tuesday, October 05, 4:30pm-6:00pm
Speaker: Prof. Susumu SASAKI Niigata University
Title: 核磁気共鳴の新しい展開---半導体中核スピンのコヒーレンス
Room: 55N-02-Conference Room of Dept. of Appl. Phys. and Dept. of Phys.
近年,量子計算の実現にむけた理論的・実験的研究が精力的になされている。なかでも,核磁気共鳴(NMR)量子計算は,7量子ビットの演算に成功しており,現時点では群を抜いて進歩している。しかし,高分子の溶液を用いるこの方法では,10ビット程度が上限であるため,本格的な多量子ビットの実現のためには全く異なる物質と技術が必要となる。我々は,JSTのCRESTプロジェクト研究の一貫として,典型的な半導体であるシリコンとGaAsに着目し,多量子ビットを固体中の核スピンで実現することを目指している。このうち,シリコンについては,コヒーレンス時間T2が1秒程度であり,他の量子ビットに比べて数桁以上長いことを報告しているが,非常に長く緩和するT2成分(以下,"T2L")が出現することが謎となっていた。[Jpn.J.Appl.Phys. 42(2003)L1350.; 固体物理<固体中の量子コヒーレンス制御>特集号38(2003)801.]その後の実験的研究により,照射するパルス列に依存してT2Lの値が系統的に変化すること,さらに,これらの現象はシリコンに限らず,バルクのGaAsにおいても全く同様に観測されること,を見い出した。先般の物理学会で報告したところ,これは「量子Zeno効果」あるいは「bang-bang control」の実験的検証である,との指摘を受け,強い関心が寄せられている。本講演では,まず,物理としてのNMRの概要,物性物理にNMRが寄与してきたトピックスを簡潔に述べた後,溶液のNMR 量子計算に簡単に触れ,その限界を打破するものとして我々の研究の進展について議論する。

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