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2次元相対論的場の量子論におけるColemanの定理について

Date: Tuesday, June 10, 4:30pm-6:00pm
Speaker: Dr. Chigak ITOI Nihon Univ.
Title: 2次元相対論的場の量子論におけるColemanの定理について
Room: 55N-02-Conference Room of Dept. of Appl. Phys. and Dept. of Phys.
Colemanは「2点関数に赤外発散がない2次元の相対論的な場の量子論では、連続対称性は自発的に破れない。」という結果を1973年に発表した。

これはColemanの定理としてよく知られており、30年にわたって引用されつづけている。ところがこの論文は、穴や、間違いが多いうえに、定理の仮定も証明の手段も物理的な直感からかけはなれていて大変読みにくい。このため、きちんと読まずに誤解して引用している人も多い。特に、「赤外発散がない」という仮定は強すぎて、物理的に意味のある現象も排除されかねない。たとえば、1次元の強磁性Heisenberg模型では、帯磁率が絶対零度で赤外発散することによりSU(2)対称性は自発的に破れている。赤外発散は臨界現象などの理論にとって物理的に重要な現象であるから、これをもって理論に矛盾があると決め付けてはならない。また、bosonsizationや共形場の自由場表示などを使っている人々は、赤外発散など、適当に取り除いて使えば良いのでこの仮定は意味がないのではと、考えるかもしれない。さらに、この仮定は質量のないスカラー場がないということを意味し、Goldstoneの定理の対偶を証明しているにすぎない。つまり、このままではこの論文の重要性が歴史上まったくないことになる。

この講演では、まず、「赤外発散がない」という物理的によく吟味できない仮定をおくのはやめ、「連続対称性のある2次元の相対論的な場の量子論では、その対称性に対応する荷電局所スカラー場にCluster propertyが成り立つならば、真空期待値を持てない。」という命題を示す。時間があれば、格子系で厳密に成り立つMermin-Wagner の定理やShastry-Momoiの定理との関係も議論する。

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